FOG―LLの稼働で、どんな変化が生まれてきた? 現場も少し見せちゃいます!

FOG―LLの稼働で、どんな変化が生まれてきた? 現場も少し見せちゃいます!

昨年11月のブログで、レーザー事業の拠点として誕生をお知らせした「FOG―LL」。今年に入って実際に稼働し始め、大切な場となっています。今回は、FOG―LLで中心となって動いているスタッフの五味に施設内を案内してもらいながら、感触と展望を訊いてみました。

 



 

 

―欲しかった場がこうしてできて、毎日仕事が楽しいんじゃないですか。

 

五味 もうすっかりここに根を張って、ずっと過ごしているんですよ、と言いたいところですが、なかなかそんなわけにはいきませんね(笑)。ほかの業務も頑張りながら、できるだけここで仕事ができるようにと思っています。

 

こうして、レーザー事業の拠点ができたことは大きくて、単純に広く明るくなったことで、これまでの業務もやりやすくなりましたし、スタッフ同士も機械の様子を見ながらその近くで話し合いができる。ここでの仕事は実験的な役割も大きいので、ああでもない、こうでもないと言いながら意見を出し合えることには、とても価値があると思いますね。

 



 

―具体的にはここでどんな仕事をしているのか、少し紹介してもらえますか。

五味 今、進めているものの中から、公開できるものを3つ紹介しますね。どれもお客様からの希望に合わせて、実証機を作っているところです。実証機というのは、その後の量産のために実証をするための位置づけのもの。製造工程においてその機械が的確に動けるよう、実証機で試行錯誤を繰り返します。

 

 





 

これは、レーザーはぎ機です。金属の表面に施されたメッキのはがしたい部分だけを、一瞬ではがします。お客様から支給いただいたレーザー機器を搭載して作られた設備です。この設備で、はぎ作業を繰り返し行います。正確に、ミスなく、早くはぐための条件を探っていきます。

 

 



 

これは、レーザー溶接機です。技研システックはこれまでも溶接事業を行ってきたので、溶接に関連してレーザーをどこに生かしたら良いかという相談は多いです。簡単にできないものほど、実証機の存在が大切になるんですよね。

 

 



 

こちらもレーザー溶接機です。一般的なものとは少し異なる特徴があり、2種類の波長の違うレーザーを同時に出せるんです。この溶接機を使うと、レーザーの波長の違いによる特徴を生かしあい、ひとつの波長だけだと溶接条件が成立しにくい溶接でも、可能にできるんです。

 

 

―以前は、こうした作業をお客様のところにお邪魔して行うことが多かったですよね。自社でできるようになって、何か良い点はありましたか。


五味 いろんな方面で、めちゃくちゃ良いです! まず、お客様が技研システックに来てくださり、ここで一緒に考えていけることで、「こうしたらどうだろう」というこちらからの提案も出しやすくなりました。何せ、それぞれにいろんな知見をもったスタッフも、レーザー周りの機器も、ここに揃っているわけですから。

 

また、自社スタッフの教育の面でもプラスになっています。レーザー事業について説明するときに、目の前で実際に見たり手を動かしたりしながら学んでもらえる。ほら、これなんか本来はこんな剝き出しになっていないので、話に聞くだけじゃなかなかつかめないじゃないですか、でもこうやって見ることができると、理解度が大きく違ってきますよね。 



 

前に話した時、社長がFOG-LLには3つの役割があると言っていたのを、覚えていますか。「自社の研究所」「他社との共同研究所」「展示場」です。実際に稼働し始めてみて、見事にこの3つが果たせているのを実感する毎日です。

 

お客様が、自社の開発事業のために来てくださると、周りに同じように開発中のいろんなものが並んでいるわけです。当然、それぞれの機器は、各社の技術と掛け合わせてできるわけなので、同じものを作ることは無いのですが、弊社が技術的にどんなことができるのかは分かってもらいやすい。すると「今度うちもこんなことやってみたいんだけど…」と具体的な相談がいただけ、その場で次の依頼が生まれていくわけです。

 

僕たちがレーザーで何ができるのかを示し、それをお客様がどのように生かせるのかをイメージしていただく、これまでなかなか難しかったこの部分を、FOGーLLができたことでスイッと乗り越えていけているなと感じています。

 

 

―それは手ごたえも感じられて嬉しいですね。五味さんの目の輝きが増しているのを感じますが、今更ながら、どんなところにレーザーの面白さを感じていますか。

 

五味 「思った以上にいろんなことができる」というところですかね。溶接はもちろん、はいだり、切断したり。最近はレーザーで行う「乾燥」が盛り上がっていますね。これまで炉の中を延々とレールに乗せて乾燥作業をしなければならなかったのが、レーザーを使えば省スペースでできちゃいますし。

今まで皆さんが製造工程でやって来たことの中で、レーザーが代替できるかもしれないことはたくさんあって、代替できれば品質が上がる、正確にできる、速くできる、場所を取らなくなる、など、良いことがたくさんあるんです。二酸化炭素の排出も減るでしょうから、環境にも優しいですしね。

 

さらには代替でなくて、「これまではできなかったけれど、レーザーだからこそできること」もあるはずで。昨日までできなかったことをレーザーが可能にする。それによって製造業の常識すらも変わるかもと思ったら、そりゃもう、ワクワクしますよね。

 

 

―FOG-LLの存在感が、これからさらに増していくような気がして、楽しみです。最後に、五味さん自身はこの先、FOG-LLをこんな風に生かしていきたいという想いは何かありますか。

 

五味 今はお客様と一緒に、お客様のための実証機を試行錯誤して作っていますが、技研システック自身でも自社のレーザー事業をより良くしていくための実証機をもってみたいなと思っています。そうは言っても高価なんで、なかなか難しいところではあるんですが。

 

「レーザーは教科書通りにはいかない」とは昔からよく言われたもので、机上で出した数値の通りにはいかない難しさを、僕自身もよく知っています。「この条件でこの材質に対してならどうなるか」など、自社で実験を繰り返してデータを積み重ねていけば、より提案力のある組織に成長できると思うんですよね。FOG-LLを存分に生かして、レーザー分野での技研システックの歩みをさらに進められるよう、頑張っていきたいですね。

 

 



 

 

 ラボ(FOG-LL)って秘密基地みたい』と思うことがあります。お客様と、レーザーに携わる社内メンバーが、集まって何やらワイワイやっているけれど、外からはなんだかよく分からない・・・。この雰囲気が、何か新しいアイデアや『それ、できるといいね!』というひらめきにつながると面白いなあと期待しています。
「ラボ」といっても工場なので、設備を組み付けたり調整するスペースなのですが、一方で、エンジニアが「面白い」と感じることを自由にトライしたり、議論できる場所があるといいなという思いがあり、ラボがそのように機能してくれると嬉しいですね。
五味をはじめ、他のメンバーがラボで真剣に、でも楽しそうに仕事している姿を頼もしく思って見ています。(ホームページ担当/後藤)